千と千尋の神隠し、カオナシの考察と解説、ラストの電車シーンが神すぎる件

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アイキャッチ画像:出典 https://www.amazon.co.jp/

※この記事ではネタバレを含みます。

2001年に公開され、現在まで日本の映画歴代興行収入No1を貫く最強ジブリ映画

「千と千尋の神隠し」

この映画はただの10歳の少女が、異世界へ入って父と母を助けるストーリーではない。

そんなことはみなさんご存知と思います。

この映画では、いくつもの感情が動くシーンがありますが、

「カオナシと一緒に電車に乗りながら、ゼニーバの元へハンコを返しにいく最後のラストシーン」

ほど深く、感情が動くシーンはないと思っています。

それは何故か解説していきます。

ここで働かせてください!!!

物語はしょっぱなから伏線と謎のオンパレードです。

謎の世界へ飛び込んだと思ったら、父と母はブタになり、

急にイケメン(ハク)にナンパされるわ、

湯屋に行かされ、見た目完全に薬物中毒な婆さん(ユバーバ)に名前取られるわ、、、

初めてこの映画を見たときはまだ小学生でしたが、ユバーバの印象は脳裏に焼き付いてますね。。。

ちなみに、宮崎駿監督作品には、「労働」がテーマのものが多いが、

この湯屋も「キャバクラの風俗産業」であることはわりと有名な話である。

「ここで働かせてください!!!」

ハクに言われた通りにする千尋。

この世界では働けない者は消えて無くなってしまう。

まさに、今のこの資本主義社会の象徴とも言えるでしょう。

ちなみに、ハクは過去に現実世界で千尋を助けたことがあり、以前から千尋のことを知っていました。

それはハクがユバーバに名前を奪われる前、コハク川の主:ニギハヤミコハクヌシだった頃、溺れた千尋を助けたのです。

カオナシは人間の恐怖や欲望、執着の象徴。そして最後にキレる

この映画では、ジブリならではの数々の個性的キャラクラーが登場します。

釜爺、すす、坊が変化したネズミ、カラス、オイオイいう変な緑のやつ(カシラという名前だそうです笑)

中でも、カオナシの存在がこの物語の象徴とも言えるでしょう。(出演時間もハクより長い)

宮崎駿監督によると、このキャラクター最初は脇役としての登場しか考えてなかったそう。

しかし、映像にすると、単純なストーリー展開へのカンフル剤になりそうと閃いた監督によって

後に重要な役割が与えられることになりました。

カオナシは人間の恐怖や欲望そのものを表していると言われています。

「あ・・・あ・・・。」「寂しい・・・。」

「千が欲しい・・・。」「(泥団子食べさせられ)許さん!」

言いたいことが言えないコミュニケーションの難しさ、孤独への恐怖と寂しさ、

人に認められたいと思う承認欲求、思い通りにならなければキレる感情のコントロールの難しさ。

一つのもの(ここでは千の気持ち)への執着が激しくなればなるほど、よりそれを求める欲望は増大し、

それが否定される(手に入らない)のではないかという恐怖が増大し、さらに強い欲望が生まれるという負のループに入ってしまいます。

そして、最終的には感情が爆発し、最後にカオナシはキレ散らかすのです。

世の中の人間関係でこじれた犯罪などは全てこれに当てはまるのではないかと思います。

感情が爆発してキレ倒して暴れ散らかしたカオナシ。

このカオナシの行動が、後の静かなラストシーンに緩急をつけていると言えるでしょう。

ユバーバV S千尋というありきたりなラスボスを倒すシーンではない!

名前を奪われ、働くこと以外の選択肢を閉ざされ、

それでもなお、ハクを助けて自分も元の世界へ帰ろうとする千尋。

そこに立ちはだかるのはもちろん「ユバーバ」です。

普通のラストシーンでは、ユバーバを倒すことが物語のエンドになるかと思います。

でも、この映画では

「静かに電車に乗って、ハンコを返すことでハクを助ける」

ことがラストシーンになっています。

千尋は以前川に落ちたときも、今回この謎の世界へ迷い込んだときも、

ハクには助けられっぱなしでした。ここで初めてハクを助けるシーンが、

”ただ、電車に揺られる”という、こんな静寂な終わり方は聞いたことがなく、

直前までのカオナシの暴走ともあいまって、視聴者に、静かに時を感じる贅沢な時間の流れの価値が伝わったのだと思います。

宮崎駿監督もこの水上を走る電車のシーンはいれたかったというほど我々の脳裏にも焼きつくシーンとなっています。

何故千尋は両親を当てれたか?

ハクを助けて、湯屋に戻った千尋にはもう一つの目的、

「両親を助けて自分も元の世界に帰ること」が残っています。

意地悪なユバーバは、例えネズミから戻った坊に言われようとも、ルールだからという理由で

「たくさんいる豚の中から自分の両親を探せ」と試練を与えます。

しかし、千尋は「この中にはいない」と当てます。

ここへの個人的な解釈としては、

ハクを筆頭にリンや釜爺など湯屋の人達、ゼニーバなど今まで助けられてばかりだった千尋が、

「ハクを助け、今後は両親を助けるという助ける側へ回った成長」

を表しているのではないかと思います。

中に紛れ込ませなかった理由は、ユバーバの意地悪か、はたまたクライマックスの演出かは定かではないですが、

いずれにせよ、10歳の一人の人間が、働くことや人を助けること、社会での生き方を学び、

成長したということの現れだったのではないかと思います。

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