日本内科学会雑誌2023:112巻1号〜12号【内科専門医試験対策】

内科専門医試験
たいしょー
たいしょー

こんにちは!らーめんどくたです!

毎年送られてくる日本内科学会雑誌、普通に読むのだるくないですか?(笑)

実は僕も、正直医局の机を占領するだけの飾りアイテムと化していました。笑

しかぁ〜〜〜しっ!!!!!これめっちゃ勉強になる〜〜〜!!!!!

と気づきました。

この記事の目的を先に。

★この記事の内容

「内科専門医試験」を控えた自分が「日本内科学会雑誌2023(112巻)の第1号〜第12号を読んで、これは試験対策で大事だなと思った「30問」を⭕️❌クイズで解説!

「学び」としては大事だけど、「試験対策」としては重箱の隅感があったり。。。

と、読まずにコレクションだけしてる人も多いと思います。

そんな放置プレイ好きの方でも「どうしよう、読んどこうかな。」という絶好の人生に一度の熱狂フィーバーイベントがやってきます。

そう、内科専門医試験(総合内科専門医試験)です。

でも・・・・

たいしょー
たいしょー

いや、分量が多いんじゃ〜〜〜〜〜っ!!!!!

とわかっててもなお、放置プレイを貫き通すブレない芯を持った先生が多いと感じます。

そこで今回は、

2023年度に発行された日本内科学会雑誌のうち「特集の理解を深める Multiple Choice Questions」の問題を参考にして「特集」の文献中から「これは内科専門医試験(総合内科専門医試験)にも出そう!!!」と個人的に思った問題を抜粋し、解説していきます。

たいしょー
たいしょー

おそらくこの記事を読む先生は忙しくて時間が取れない方が

多いと思うので解きやすいように⭕️か❌の問題にしました!


↓2022年(111巻)の内科専門医試験雑誌とバックナンバーについてはこちらで解説してます。


もし間違いなどあればX(ツイッター)までDMください。

また、その他内科専門医試験対策記事も多数あげてますのでチェックしてみてください!

では、レッツ解説ですっ!

たいしょー
たいしょー

⭕️❌なので全部で20-30分で終わると思います!

30問中何問解けたか、ぜひチャレンジしてくださいっ!

  1. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻1号
    1. 問題1 PPIとP-CABの有害事象
    2. 問題2 PPIと胃癌
    3. 問題3 PPIと腸管感染症
  2. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻2号
    1. 問題4 リサーチクエスチョン
    2. 問題5 糖尿病のLDL管理
    3. 問題6 二次予防におけるLDL-C管理目標値
  3. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻3号
  4. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻4号
    1. 問題7 糖尿病を合併した肥満症に対する栄養療法
    2. 問題8 慢性腎臓病に対する栄養療法
    3. 問題9 サルコペニア・フレイルに対する栄養療法
  5. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻5号
    1. 問題10 HIF―PH阻害薬
    2. 問題11 IgA腎症の治療
    3. 問題12 常染色体顕性(優性)尿細管間質性腎疾患(ADTKD)
  6. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻6号
    1. 問題13 肺癌における免疫治療
    2. 問題14 肺癌における分子標的薬
    3. 問題15 肺癌のドライバー遺伝子
  7. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻7号
    1. 問題16 多発性骨髄腫
    2. 問題17 POEMS症候群
    3. 問題18 原発性マクログロブリン血症
  8. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻8号
    1. 問題19 細菌性髄膜炎
    2. 問題20 片頭痛
    3. 問題21 群発頭痛
  9. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻9号
  10. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻10号
    1. 問題22 関節リウマチの治療薬
    2. 問題23 関節性リウマチの間質性肺炎
    3. 問題24 関節リウマチ患者の妊娠
  11. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻11号
    1. 問題25 インフルエンザ菌
    2. 問題26 市中肺炎
    3. 問題27 梅毒
  12. 日本内科学会雑誌(2023年)112巻12号
    1. 問題28 精神症状に対する診療
    2. 問題29 セロトニン症候群
    3. 問題30 内科医と精神科医の連携
  13. まとめ

日本内科学会雑誌(2023年)112巻1号

問題1 PPIとP-CABの有害事象

プロトンポンプ阻害薬(PPI)とカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)について、PPIよりもP-CABの方が長期投薬に伴う有害事象は起こりやすい。⭕️か❌か。






→PPIとP-CABのどちらの方が長期投薬に伴う有害事象が多いかはまだ明らかとはなっていない。半年程度の長期投薬では数百例規模の前向きプラセボランダム化二重盲検試験試験においてPPIもP-CABもプラセボに比較して明らかな有害事象の増加は認めていない。よってバツが正解。

補足;P-CABに関しては現在観察研究が進行中だが、PPIに関しては2019年に行われた17000例以上を対象としたランダム化二重盲検試験で有害事象について統計学的な有意差が出たのは腸管感染症のみであり、この結果自体は検討症例数が十分ではないとする意見がありPPIの長期投薬による有意な有害事象発生の懸念が解消されてはいないものの、少なくとも長期投薬に関する有害事象発生の頻度が高いものではないと考えられている(引用文献:木下芳一ほか,日内会誌 112:10-17,2023)。

問題2 PPIと胃癌

H.pylori除菌後の患者ではPPIの長期投与は胃癌リスクを増大させる可能性が報告されており、PPIの長期投与にはメリットデメリットを十分に検討する必要がある。⭕️か❌か。






→香港の大規模なコホート研究などでH.pylori除菌後のPPI服用者の胃癌リスク比の上昇が見られている。よってPPI投与が癌リスクをわずかながら増加させる可能性が示されており、漠然と長期投与するのではなく必要性を十分に検討する必要があると考えられている。よってマルが正解。(引用文献:平田喜裕,日内会誌 112:39-44,2023)

問題3 PPIと腸管感染症

PPIとP-CABはともにClostridioides difficile感染症の発症リスクを増加させる。⭕️か❌か。






→Clostridioides difficileについてはPPIとP-CABともに大規模な症例対照研究(Watanabe K,et al.Am J Gastroenterol116:1632-1637,2021.)で発症リスクを高めることが報告されている(これは胃酸抑制による低酸状態となることでdysbiosisが誘導されるからと考えられている)。よってマルが正解。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻2号

問題4 リサーチクエスチョン

論文で用いられるリサーチクエスチョンの構造としてのPICOのうち、CはComparionの頭文字でどのような対照群と比較するかを意味する。⭕️か❌か。






→ランダム化比較試験など介入試験ではPICOが用いられることが多くそれぞれPatient,Intervention,Comparison,Outcomeの頭文字をとっている。介入ではなく暴露(要因)をみる観察研究ではPECOが用いられることが多く、Intervention→Exposureの頭文字からくる。よってマルが正解。

問題5 糖尿病のLDL管理

一次予防糖尿病患者の中で、末梢動脈疾患(PAD)を有する患者の場合のLDL-C管理目標値は120mg/dl未満が指標とされている。⭕️か❌か。






→動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の改訂にあたって一次予防において糖尿病がある場合のLDL-Cの管理目標値について従来通り一律に120mg/dl未満に設定されたが、①末梢動脈疾患、②細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併、③喫煙、④血糖コントロール不良状態の持続がある場合にはLDL-C100mg/dl未満の管理目標値が設定された。その他、⑤家族性高コレステロール血症と⑥非心原性脳梗塞についても同様に100mg/dl未満が設定されているがこれらは糖尿病の有無に関わらずその疾患自体が管理を要する病態とされている(引用文献:石垣泰,日内会誌 112:181-187,2023)。よってバツが正解、PADがあるので100mg/dl未満が正解。(糖尿病の二次予防の管理目標については次の問題6を参照に)

問題6 二次予防におけるLDL-C管理目標値

アテローム血栓性脳梗塞は冠動脈疾患と同様にLDL-C管理の二次予防の対象に含まれLDL-C100mg/dl未満を管理目標として設定された。⭕️か❌か。






→動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の改訂にあたって二次予防の対象がこれまでの冠動脈疾患に加えて「アテローム血栓性脳梗塞」の既往が追加された。値は従来通り100mg/dl未満とされたが、①急性冠症候群(ACS)、②家族性高コレステロール血症(FH)、③糖尿病(DM)、④冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞(明らかなアテロームを伴うその他の脳梗塞を含む)の併存の4つのいずれかが合併する場合には70mg/dlと厳格な管理目標値が設定されている(引用文献:大村寛敏,日内会誌 112:188-193,2023)。よってマルが正解。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻3号

特集MCQ問題がないためスキップします。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻4号

問題7 糖尿病を合併した肥満症に対する栄養療法

高度肥満症(BMI35以上)のない、糖尿病を合併した肥満症(BMI25-35)患者の体重減量目標は現体重の5%〜10%である。⭕️か❌か。






→肥満を伴った糖尿病の病態改善にはエネルギー制限による肥満の是正が大事である。日本肥満学会の肥満症診療ガイドライン2016では特定保健指導の調査結果に基づきHbA1cのマネジメントを目的とした肥満症の体重減量目標を現体重の3%〜5%としている(引用文献:福井,日内会誌 112:,2023)。しかし、高度肥満症がある場合は5%〜10%の減量目標が設定されている(肥満症診療ガイドライン2016)。高度肥満症がないため正解はバツ、3%〜5%が正解。

問題8 慢性腎臓病に対する栄養療法

サルコペニアやフレイルを合併しない慢性腎臓病G3b〜G5ステージにおいてタンパク質制限は0.8〜1.0g/kgBW/日の制限が推奨されている。⭕️か❌か。






→慢性腎臓病G3b〜G5ステージにおいてのタンパク質制限は0.6〜0.8g/kgBW/日が推奨されている。0.8〜1.0はステージ3a(GFR45-59)。ただし、G3〜G5ステージにおいてサルコペニア・フレイルを合併する際には病態に応じて制限緩和を検討する(引用文献:猪阪善隆,日内会誌 112:636-641,2023)。また、透析中患者ではより緩和され、0.9〜1.2g/kgBW/日のタンパク質制限が推奨される(慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年度版)。ここでの答えは0.6〜0.8g/kgBW/日なので正解はバツ。

問題9 サルコペニア・フレイルに対する栄養療法

サルコペニア・フレイル予防のためのタンパク質摂取量は若年者より高齢者の方がより多くのタンパク質摂取量が必要となる。⭕️か❌か。






→高齢者ではタンパク質同化抵抗性が存在し、若年者以上のタンパク質摂取量が必要となる。よってマルが正解。具体的に、予防には1.0g/kgBW/日以上で治療には1.2〜1.5g/kgBW/日が必要である(引用文献:葛谷雅文,日内会誌 112:642-647,2023)。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻5号

問題10 HIF―PH阻害薬

腎性貧血の治療薬としてHIF-PH阻害薬は低酸素誘導因子(HIF)を活性化させてエリスロポエチンの産生を促し、赤血球造血を促進する。⭕️か❌か。






→腎性貧血の新規治療薬である。薬理作用は問題文の通りであり、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と比較し同等の効果が示されている(引用文献:田中哲洋,日内会誌 112:769-776,2023)。よってマルが正解。

問題11 IgA腎症の治療

Ig A腎症を原疾患とした慢性腎臓病に対するSGLT2阻害薬の有用性が示されている。⭕️か❌か。






→SGLT2阻害薬であるDapagliflozinの糖尿病非合併慢性腎臓病患者に対しての有効性が確認されており(DAPA-CKD試験)、中にはIgA腎症患者も含まれ、IgA腎症に限った再解析でも有効性が確認されている(引用文献:二瓶義人ほか,日内会誌 112:784-790,2023)。よってマルが正解。

問題12 常染色体顕性(優性)尿細管間質性腎疾患(ADTKD)

常染色体顕性(優性)尿細管間質性腎疾患(ADTKD)は尿細管間質障害を主体とする進行性の腎機能障害を呈する症候群であり、蛋白尿や血尿を契機に疑われる。⭕️か❌か。






→尿細管拡張や尿細管間質線維化などの尿細管障害を特徴とし、通常蛋白尿や血尿は見られない。さまざまな原因遺伝子が報告されているがUMODとMUC1の頻度が高い(引用文献:森崇寧ほか,日内会誌 112:799-804,2023)。よってバツが正解。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻6号

問題13 肺癌における免疫治療

PD-1阻害薬+抗CTLA-4抗体効果はPD-L1発現の有無に左右されない。⭕️か❌か。






→CheckMate-227,Checkmate-9LA,PSEIDON試験などでPD-1阻害薬+抗CTLA-4薬併用治療の抗腫瘍効果はPD-L1陰性、陽性に左右されないことが示されている。よってマルが正解。また、PD-L1≧1%進行機肺癌ではPD-L1阻害薬であるPembrolizumabが保険適応であり特にPD-L1≧50%肺癌に対する効果が高いことが証明されている(引用文献:各務博,日内会誌 112:926-930,2023)。

問題14 肺癌における分子標的薬

進行期肺癌において抗がん剤治療を選択するとき、PD-L1免疫染色TPS≧50%かつEGFR変異陽性がともに見られた場合、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬よりも免疫チェックポイント阻害薬を優先する。⭕️か❌か。






→ドライバー遺伝子陽性肺癌に対する標準治療は同時にPD-L1免疫染色TPS≧50%であっても、ドライバー遺伝子に対する分子標的薬を優先する。よって正解はバツ。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬を優先する。

問題15 肺癌のドライバー遺伝子

2023年6月現在、進行非小細胞肺癌のEGFR変異、KRAS変異、ALK融合遺伝子、RET融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF変異、METex14skipping、NTRK融合遺伝子に対する分子標的薬が承認されている。⭕️か❌か。






→非小細胞肺癌では約6割に何らかのドライバー遺伝子が見られ、上述するすべての遺伝子変異に対してはそれらを対象にした分子標的薬により治療成績の改善が認められている。よって正解はマル。このうち5%以上の頻度で認められるのはEGFR変異とKRAS変異のみである。また、2023年6月時点ではまだだが今後はHER2変異やNRG1融合遺伝子に対する分子標薬も応用が期待されている(引用文献:後藤巧一ほか,日内会誌 112:945-954,2023)。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻7号

問題16 多発性骨髄腫

多発性骨髄腫の病期分類には血清M蛋白量が用いられる。⭕️か❌か。






→Revised ISS病期は、①血清アルブミン、②血清β2-microglobulin、③血清LDH、④骨髄FISH検査による骨髄腫細胞の染色体異常「高リスク染色体異常;t(4;14),t(14;16),del(17p)」の4項目に基づき判定される。よって正解はバツ。ちなみに血清M蛋白を用いた分類は意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)との鑑別で用いられる(MGUSではM蛋白 3g/dL未満)。

問題17 POEMS症候群

POEMS症候群の診断、治療経過判定に重要な検査として血清LD値が用いられる。⭕️か❌か。






→POEMS症候群は形質細胞のクローン性増殖を基盤に、Polyneuropathy;多発神経障害、Organomegaly;臓器腫大、Endocrinopathy;内分泌障害、M蛋白血症、Skin change;皮膚症状に加え浮腫や胸腹水貯留などの症状を呈する全身性疾患である。この多彩な症状には血管内皮増殖因子(VEGF)が関与していると言われ、診断、治療経過判定に血清VEGFが用いられる(引用文献:堺田恵美子,日内会誌 112:1223-1230,2023)。よって正解はバツ。LD値は問題16の多発性骨髄腫の病期分類には用いられる。

問題18 原発性マクログロブリン血症

原発性マクログロブリン血症の治療に関して、過粘稠症候群を呈する患者では、薬物療法開始前に血漿交換を行うことが推奨される。⭕️か❌か。






→原発性マクログロブリン血症は症状がなければ経過観察されることが推奨されているが、過粘稠症候群を呈する患者やIgMが高値の場合にはリツキシマブ併用化学療法やBTK阻害薬が治療選択肢となり、薬物療法開始前には血漿交換を行いIgMを低下させることが推奨されている(特にリツキシマブを投与する際にはIgMが一過性に上昇し増悪することがある)。よって正解はマル。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻8号

問題19 細菌性髄膜炎

成人のブドウ球菌性細菌性髄膜炎には副腎皮質ステロイド薬の追加併用が推奨されている。⭕️か❌か。






→副腎皮質ステロイド薬の追加併用は成人の肺炎球菌性細菌性髄膜炎の死亡率や後遺症を軽減させるため推奨されている。よって正解はバツ。また、肺炎球菌性髄膜炎は侵襲性肺炎球菌感染症(無菌である血液や髄液から肺炎球菌が検出される)として5類感染症の中で全数把握対象のため直ちに届出が必要である(そのほか麻疹、風疹も同様に5類の中で直ちに届出が必要)。

問題20 片頭痛

CGRP関連抗体薬は片頭痛の予防薬として用いられる。⭕️か❌か。






→2021年に我が国で承認され、従来の予防薬が1剤以上で効果不十分、忍容性が低い、禁忌または副作用などの観点から安全性への強い懸念点がある、場合などに使用可能である。よって正解はマル。

問題21 群発頭痛

群発頭痛の持続時間は2〜30分である。⭕️か❌か。






→群発頭痛は頭痛と同時に流涙、鼻漏、結膜充血、鼻閉などが見られ、持続時間は15〜180分である。よって正解はバツ。2〜30分は片頭痛の持続時間である。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻9号

特集MCQ問題がないためスキップします。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻10号

問題22 関節リウマチの治療薬

関節リウマチと診断されたらまずはメトトレキサートが考慮されるが禁忌がある場合は第一治療段階から積極的に生物学的製剤の使用を検討する。⭕️か❌か。






→関節リウマチの治療第一段階は特別な禁忌がない限りメトトレキサートを、メトトレキサートが使用できない場合は従来型合成DMARDsを、もしくはその両者の併用治療が用いられる。それでも効果不十分な場合に生物学的製剤やJAK阻害薬が使用される(背景として生物学的製剤は非常に高値であり、かつ関節リウマチは難病特定疾患でないため患者3割負担になる)。生物学的製剤にはTNF-α阻害薬、IL-6受容体阻害薬、T細胞共刺激阻害薬があり、治療第二段階以降はこれにJAK阻害薬を加えた薬剤の中から治療薬の選択と効果不十分の場合は治療薬スイッチが行われる。よって正解はバツ。

問題23 関節性リウマチの間質性肺炎

関節リウマチの関節外症状として間質性肺炎があり、男性に多い。⭕️か❌か。






→関節リウマチは全世界ほぼ共通で0.5%〜1%の罹患率で発症の男女比は1:4である。しかし、間質性肺炎の合併は男性に多いとされている。そのほか、間質性肺炎のリスクとして関節炎コントロール不良、高齢、喫煙歴、リウマチ因子高値陽性、抗CCP抗体高値陽性などが知られている(引用文献:秋山光浩ほか,日内会誌 112:1920-1926,2023)。よって正解はマル。

問題24 関節リウマチ患者の妊娠

サラゾスルファピリジンは妊娠中でも使用可能である。⭕️か❌か。






→従来型合成DMARDsの中でメトトレキサート、レフルノミド、イグラチモドには催奇形性がある可能性が示唆されており妊娠中・妊娠計画中の使用は禁忌である。逆にサラゾスルファピリジンとタクロリムスは催奇形性がなく安全に使用できる。そのほか、生物学的製剤ではTNF-α阻害薬は妊娠中・妊娠計画中も安全に使用可能であり、IL-6受容体阻害薬とT細胞共刺激阻害薬は妊娠中の使用にはデータが乏しいため、妊娠計画中は使用できるものの妊娠判明後は中止することが推奨されている(引用文献:土田優美,日内会誌 112:1927-1931,2023)。よって正解はマル。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻11号

問題25 インフルエンザ菌

インフルエンザ菌の90%以上に対してスルバクタム・アンピシリンは有効である。⭕️か❌か。






→インフルエンザ菌の約30%がβラクタマーゼ非産生ABPC耐性菌(BLNAR)である。これはPBP蛋白変異による耐性があり、スルバクタム・アンピシリンの効果がない。そのほかインフルエンザ菌の中にはβラクタマーゼ産生ABPC/CVA耐性(BLPACR)も効果がない。よって正解はバツ。また、ペニシリン耐性株としてはβラクタマーゼ産生ABPC耐性(BLPAR)もあるが、こちらはβラクタマーゼを産するためアンピシリンは効かないもののスルバクタム・アンピシリンは効果がある。インフルエンザ菌全体では60%以上がそもそもペニシリンに耐性株であると知られている。

問題26 市中肺炎

市中肺炎において免疫抑制薬を使用中の場合にはルーチンで緑膿菌をカバーする必要がある。⭕️か❌か。






→市中肺炎で最も頻度が高い起因菌は肺炎球菌であり、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌と続く。肺炎球菌ではペニシリン系が第一選択であるが髄膜炎合併例ではペニシリン耐性(同じ菌株でも肺炎と髄膜炎では感受性の判定基準が変わってしまう)になることが多いためセフトリアキソン+バンコマイシンが用いられる。インフルエンザ菌では問題25のようにアンピシリン耐性株が多くペニシリン耐性のためセフトリアキソンが第一選択となる。黄色ブドウ球菌ではβラクタマーゼ産生率が高くセファゾリンやスルバクタム・アンピシリンが用いられる。このように市中肺炎の場合は重症例であっても多くは感受性による肺炎であり耐性菌検出歴や臨床経過でエンピリック治療を検討することはあるものの免疫抑制薬を使用しているという理由のみで耐性菌をルーチンでカバーする必要はない(引用文献:住吉誠,日内会誌 112:2053-2058,2023)。よって正解はバツ。

問題27 梅毒

2期梅毒では難聴が見られることがある。⭕️か❌か。






→1期梅毒では無痛性潰瘍など局所の感染が、2期では局所で感染したスピロヘータが血行性に全身へ播種する病態である。よって全身性リンパ節腫脹や全身の皮疹(バラ疹)、尖圭コンジローマなどが見られる。さらに血流感染の合併症として髄膜炎もこの時期に見られる。また、神経梅毒は1〜3期のいずれにも見られるが難聴は3期以降の臓器障害の晩期として出現する。そのほか3期梅毒では大動脈瘤などの心臓血管系梅毒や皮膚・骨・肝などに肉芽種形成(ゴム腫)も重要である。よって正解はバツ。

日本内科学会雑誌(2023年)112巻12号

問題28 精神症状に対する診療

1ヶ月前からの倦怠感、何事にもやる気が起きないなど抑うつ症状が見られる。この場合まずは精神科へ紹介することが大切である。⭕️か❌か。






→診療の順序として、心因性の前に必ず器質疾患を除外することが大切である。本症例のような気分障害型パターンでは甲状腺や副腎、下垂体疾患、Parkinson病、悪性新生物など睡眠時無呼吸症候群など器質疾患の除外が重要である。他にも意識障害を含む精神病型症状や、不眠症状にもまずは器質的疾患を除外してから精神疾患を鑑別する(引用文献:鋪野紀好,日内会誌 112:2206-2212,2023)。よって正解はバツ。

問題29 セロトニン症候群

セロトニン症候群では腱反射亢進が見られ、悪性症候群との鑑別に重要である。⭕️か❌か。






→ともに高体温や発汗、意識障害などが見られるがセロトニン症候群はSSRIやSNRIによる神経伝達が亢進している状態であり下痢や腱反射亢進、ミオクローヌスなどが悪性症候群との鑑別ポイントとなる。よって正解はマル。

問題30 内科医と精神科医の連携

自殺念慮や衝動行為などのない、緊急性が低く軽症で治療に消極的な患者でも精神症状が見られれば説得の上、早急な精神科受診を促すことが大切である。⭕️か❌か。






→精神科への受診と治療には心理的な負担や葛藤があり、治療への動機づけが不十分な患者では通院中断など治療継続不能となる場合がある。治療に消極的な場合は理由を傾聴するなど患者が能動的になってから紹介する方が効果的となりやすい。よって正解はバツ。

まとめ

内科専門医試験は大体6割取れれば合格と言われています。

よって30問中18問以上正解していれば合格点でしょう!

たいしょー
たいしょー

かといって、油断はきんもつっ!!!


その他、内科専門医試験対策記事一覧でもさまざまな解説をしてるのでよかったら参照してくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました