どうも、らーめんどくたーです!
2018年卒のJ-OSLER 3期生、やらしてもらってます!!
やっと!やっと!
29個の病歴要約を提出し終わったよー!!!
と、いうことで。
自分が病歴要約症例に選んだポイントは以下の3つだけです。
シンプルさとちょっとした一癖
症例への印象深さ
牛丼屋でいう早い!美味い!安い!みたいなもので、これらを意識すれば圧倒的に書きやすいです。笑
といっても何がなんだかだと思うので、
実際に提出した29個の病歴要約と照らし合わせて、具体的に掘り下げていきます!
PS. 実は1症例ミスして結局合計30症例作ってるけど、なんでそんなミスしたかも解説してます、、笑
※当記事では、病歴要約の登録に悩む専攻医へ向けて役立つように、自分の経験をもとに具体的に書くコツを解説している記事になります。患者さん個人の特定につながるような情報は非公開とさせていただいております。
ではっ!解説していきます!!!
他にも当ブログでは有益なJ-OSLER関連の記事を執筆してるのでブックマーク頂けると嬉しいです!
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総合内科 2症例
総合内科はⅠ(一般)、Ⅱ(高齢者)、Ⅲ(腫瘍)と3つあって、その中から2つ書きます。
自分は消化器内科なので消化器疾患に寄りました。
しかし、どの内科でも比較的書きやすいんじゃないかなーと思います。
総合内科Ⅰ(一般):4)緩和ケア
症例は「spiritual painがmain problemと考えられた末期膵癌の1例」です。
この症例は、症例に対する印象深さが強く、要約を書く前の入院時から自分の中で考察ポイントがまとまっていました。
全ての患者さんに言えることですが、末期癌の患者では特に全人的な視野での診療が大事です。
J-OSLERでも全人的な視点についてはかなり意識しており、日々の回診でも本人や家族の思いについて考えることが多く、たくさんの学びに繋がった症例であったため選択しました。
総合内科Ⅲ(腫瘍):1)がん薬物療法の副作用と支持療法
症例は「支持療法によって化学療法を再開できた胃癌の1例」です。
これは昔作った発表のスライドを参考にしたので比較的早く終わりました。笑
すでに調べていた文献があったり、考察を加えた症例だった場合は総合考察に割く時間がないので楽ですね!
消化器 3症例
この分野は自分の専攻科なので、もう思考停止で書きました。笑
全消化管に関わる疾患:7)憩室性疾患(憩室炎, 憩室出血)
症例は「抗菌薬投与による保存的加療で軽快したが、薬剤性肝障害を認めたS状結腸憩室炎の1例」です。
この症例タイトルを見て、
「え、薬剤性肝障害なんて起こしてたら書くのめんどくさそうじゃない?」
って思った人はまだまだ病歴要約素人です。笑
理由は、シンプルすぎるとプロブレムリストが少なすぎて逆に何書けば良いか迷うからです。だから、シンプルさに一癖「薬剤性肝障害」が欲しいわけですね。
しかし、この一癖が膿瘍を合併した〜とか穿孔をきたした〜だと複雑で話が変わってきます。
よって、できるだけシンプルな一癖ある症例をチョイスしましょう。
肝疾患:3)腫瘍性および局所性(占拠性)関連疾患 ⑤肝膿瘍
症例は「門脈血栓症を合併した細菌性肝膿瘍の1例」です。
肝膿瘍は割とcommon寄りな疾患のため、かなり書きやすいと思います。
一見、
・単発性?多発性?
・細菌性?アメーバ?
・経門脈的?経胆道的?
とか鑑別が多くて複雑に見えます。
しかし、調べていくと何が原因かはっきりすることが多いので「どう鑑別したか」の過程を考察していくことが可能となります。
例えば、今回使った症例なら「腸炎による腹腔内感染の既往があった→経門脈的に肝臓へ移行した細菌性肝膿瘍→門脈血栓症も合併しておりその裏付けとなる」とかなりシンプルに展開できます。
逆に、総胆管結石の既往があれば「結石性胆管炎→経胆道的に肝臓へ移行した」といったように展開できます。
こういう何が原因かはっきりした症例は鑑別疾患が一般的に確立されているので書きやすいです。
他にも、
・先行感染→ギランバレー症候群
・歯科治療→感染性心内膜炎
・温泉に行った→レジオネラ肺炎
など考えればたくさんあります。(もちろん例外もありますが、その時はどのくらいの頻度か〜みたいな感じで自由に展開していけます。)
「病見え」にもでっかく乗ってるような国家試験的必須知識commonネタはかなり使いやすいです!
膵臓疾患:1)急性膵炎
症例は「急性壊死性貯留を伴った重症急性膵炎の一例」です。
これはかなり複雑な臨床経過でした。
ただ、
①「急性膵炎」というcommonな疾患がゆえガイドラインが確立されて調べやすいこと
②急性壊死性貯留という一癖によって考察のボリュームを増やせたこと
③長期入院による印象深さ
から選択しました。急性壊死性貯留のクセが強すぎたので本当はもっと軽いクセだったらより書きやすかったのかなと思いますが、印象深さもあったので要約を書いてて苦な時間ではなかったですね。
循環器 3症例
循環器疾患はかなり「common」な疾患が多いので割と書きやすいんじゃないかな?と思います。
心膜疾患:1)急性心膜炎
症例は「胸痛と心電図変化があり急性心膜炎と診断されNSAIDsとコルヒチンで症状の改善を認めた1例」です。
後述する肺塞栓とか急性冠症候群に比べたらcommon度は落ちますが、意外としっかり診断ガイドラインが確立されているので文献検索の時間はそれほど取られませんでした。
胸痛というシンプルな主訴、そして採血データや心電図も著明に改善したまさに国家試験の臨床問題でも出てきそうなくらいシンプルな経過でした。
もちろん、シンプルすぎては書きにくいです。本当は入院中に何か一癖イベントがある方がプロブレムリストも増えてボリュームも上がります。
しかし、この症例の場合、患者背景も特殊で全人的視点での考察も追加で書ける追加考察や、そもそも急性冠症候群が多い循環器疾患の中での急性心膜炎という珍しさが印象深く、書きやすかった症例でありました。
肺循環異常:3)肺血栓塞栓症
症例は「左下腿深部静脈血栓症による急性肺血栓塞栓症の1例」です。
肺塞栓は言わずがなcommonな疾患でガイドラインが確立され書きやすい疾患の一つです。
「深部静脈血栓→肺血栓塞栓症」というシンプルな臨床経過に確立されたエビデンス。
ただ、シンプルすぎる分、ボリュームが少なくなりがちです。
しかし、心配無用!こんな時は看護記録が参考になることがあり、
例えば職歴を聞いてなかったとしても看護師さんは聞いて記載してくれていることもあり、「デスクワーク→血流鬱滞のリスク」といった広げ方もできます。
また、普段の看護師さんとの会話から「登山が趣味だけど抗凝固薬を飲んでるともし転んで血が止まらなくなった時が不安」といった記録を参考に全人的視野を広げて考察していくなども可能です。
経過がシンプルすぎて困った時はこのように看護記録を参考にしてみるのも一つの手です。
虚血性心疾患:1)急性冠症候群 ②急性心筋梗塞
症例は「Door to balloon Time 40分を達成した急性前壁中隔心筋梗塞の1例」です。
この症例は、「急性心筋梗塞」というcommonな病態に、「Door to balloon Timeが90分以内と言われてる中で、しっかりとそれを達成できた」という一癖の軸を重ねて作成しました。
「循環器内科」の分野はこのようにcommonな疾患が多いので書きやすい上、弁膜症を合併していたり、心房細動など不整脈が併存していたり、また心電図変化も症例によってどこの誘導に異常が出るかまちまちなど固有の考察ポイントが生まれることが多いです。
そのため、
「ガイドラインに従って治療(commonな疾患が多くガイドライン・文献検索に時間がかからない)」×「一癖(弁膜症、不整脈、心電図変化etc…)」
というパターンで攻めるのが効率的なんじゃないかな?と思います。
内分泌・代謝 3症例
ここの攻め方は「2型糖尿病」+「内分泌症例と代謝症例で1症例ずつ」がオススメです。
理由は後ほど解説しますが、とにかく2型糖尿病の人はクセが多い場合が多く、考察の幅が広がることにあります。
内分泌 副腎疾患:1)副腎皮質機能亢進症 ②原発性アルドステロン症,偽性アルドステロン症
症例は「スクリーニング採血で陽性となり、原発性アルドステロン症と診断された一例」です。
内分泌系疾患の診断には負荷試験が用いられることが多く、負荷試験を行う際は直接的に患者さんと接触することになるので当然「印象」は必然的に強くなります。
この症例もそんな印象深さから書きやすさが増したものでした。
「伝える・人に説明する」といった行為は記憶のラーニングピラミッドでも証明されてるように、記憶に残りやすく、「こうしてください、ああしてください」と患者さんに説明するので具体的イメージが湧きやすく書きやすかったですね。
出典:アメリカ国立訓練研究所の研究より
代謝:2型糖尿病
症例は「高度肥満を合併した2型糖尿病患者にGLP-1製剤を用いて食欲減衰効果と良好な血糖コントロールが得られた1例」です。
言わずもがなですが「糖尿病の教育入院」はちょっとした一癖、いやかなりクセがすごいんじゃあ!!!状態です。
なので、その患者固有の背景にフォーカスできるのでボリュームを増やし、かつ全人的な考察を放り込むことができます。
しかも、よほど血糖コントロールが悪く変な合併症が起きてない限り「(インスリンや内服や食事療法で)血糖をコントロールする」というシンプルな病態は変わりません。
唯一、書きにくいポイントとしては結構昔から糖尿病を指摘されていて外来での経過が長かったりするパターンが考えられます。ただ、病歴要約の制限文章量的にも、現病歴に関してはそこまで詳しい経過を書く文字数はないため、ある程度は割愛して書いて良いと考えます。
代謝 糖尿病の慢性合併症:1)細小血管障害①糖尿病網膜症
症例は「糖尿病網膜症の手術前に血糖コントロールを要した2型糖尿病の1例」です。
糖尿病の合併症は神経症でも網膜症でも腎障害でもなんでも良いですが、「糖尿病の状態」+「合併症の考察」で2個プロブレムリストが上がるので、一つボリュームを足せる分意外と書きやすかったりします。
デメリットとしてはあまり印象に残った症例でなかったとしても割と書いていけば文字数は埋まるため、逆に全人的な視点での考察が書きにくいところですかね。
腎臓 2症例
腎臓は「脱水→急性腎前性腎不全」なんかは臨床経過もシンプルでcommonなため書きやすいと思います。
ただ、自分は腎臓の2症例に関してはちょっとクセのある2疾患に行きました。笑
泌尿器科的腎・尿路疾患:3)嚢胞性腎疾患(多発性嚢胞腎)
症例は「多発性嚢胞腎による慢性腎臓病が悪化し、血液透析導入に至った1例」です。
この症例は完全に「一癖」を意識して書きました。笑
透析導入の原因の1位、2位である糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎をあえて外し、勝負の1手だったと思います。笑
ただ、結果は非常に書きやすかったです。
その理由として、そもそも多発性嚢胞腎で透析導入に至るケースは少なく、そこから学会発表のように珍しさ視点で考察していくことで結語がブレないしっかりとした要約を作ることが可能となった点があげられます。
一見、珍しい症例は複雑そうに見えますが、「末期腎不全→透析導入」という経過は糖尿病性腎症などと同じくシンプルなためあまり抵抗なくスラスラ考察することができます。
糸球体疾患:1)一次性 ①ネフローゼ症候群
症例は「ステロイドが著効し寛解に至った微小変化型ネフローゼ症候群の1例」です。
実は以前にネフローゼに関しては記事にしたこともあります。笑
それくらい何故かネフローゼ症候群に対して印象深さが残ってました。笑
自分なりにその理由を考えてみましたが、おそらくステロイド治療は、長期の入院が必要になる分、印象に残るからなんじゃないかなと思います。笑
呼吸器 3症例
呼吸器内科は1ヶ月ローテーションしました。
J-OSLER初期世代に共通の認識として「呼吸器内科の病歴要約、コロナ肺炎入れがち」のあるあるはこの先もずっと受け継がれていくと思います。笑
気道・肺疾患:8)呼吸器新生物(気管・気管支・肺) ①原発性肺癌(小細胞癌,腺癌,扁平上皮癌,大細胞癌)
症例は「間質性肺炎を合併した扁平上皮肺癌StageⅣに対して化学療法を導入した1例」です。
前提として、消化器内科で癌を扱っているため単純に消化器系以外の癌の化学療法に興味があり、肺癌の病歴要約は書こうと思っていました。
その中でこの症例は「間質性肺炎を合併した」という一癖があり、「免疫チェックポイント阻害薬が使えない」という考察ポイントがありました。
実はこの症例、あまりケモの効果が得られておらず、「シンプルな臨床経過」という面ではややかけ離れた症例でありました。
しかし、そこは「自分の興味による印象深さ」と「一癖」でうまくまとまりました。
気道・肺疾患:4)特発性間質性肺炎<IIPs>
症例は「細菌性肺炎との鑑別を要し、臨床経過と病理結果から特発性器質化肺炎と診断した1例」です。
「病理結果と臨床経過が矛盾しない」
これほど典型的でシンプルな症例はないと思っています。
この症例では、当初細菌性肺炎が疑われてガンガンに抗菌薬が使われていました。
しかし、発熱や炎症反応、自覚症状の改善が全くなく、経気管支的肺生検後にステロイドを使用し著明に改善した上、病理結果でも特発性器質化肺炎に矛盾しませんでした。
細菌性肺炎との鑑別が必要であったという一癖がありながら、経過がシンプルなまさに病歴要約向きといった症例であったため非常に書きやすかったですね。
気道・肺疾患:1)感染性呼吸器疾患 ⑧ウイルス肺炎
症例は「腹臥位にて酸素化の改善とNHFを用いることで挿管を免れた中等症ⅡのCOVID-19感染性肺炎」です。
きました、呼吸器内科の病歴要約あるある・コロナ肺炎。
J-0SLER 1〜4期性はコロナ禍真っ只中での日々でした。
その中で理不尽な人事によってコロナ派遣を経験してきた人がほとんどと思われます。
その中でも数々の文献が出ているため、文献検索には時間がかからず、例えば自分は腹臥位にする、ネーザルハイフローを使うといった方法に関して考察を広げました。
最新の治療などは自分もあまり詳しくないですが、こうした流行りの疾患はまだ確立されてないことも多いのでいろんな方向で書きながら、最終的な結論はこれからに期待!!!みたいにオチを作れるのでかなり書きやすい部類に入るものと思われます。
あと印象も深いでしょうし。笑
血液 2症例
血液の病歴要約は例えば消化器内科なら「出血性貧血」とか「腫瘍性DIC」とか
他にも内科疾患であれば何かしらの血球異常をきたすことはそう珍しくないため症例としてのストックはかなりあると思われます。
しかし、書いてみればわかりますが血球異常の病歴要約ってめちゃくちゃ書きにくいんですよね。
おそらくその理由は「疾患」にフォーカスするんじゃなく「汎血球減少」「貧血」「凝固異常」とか「病態」にフォーカスしなければならないことが原因と思ってます。
なので、個人的にはちょっとクセのある疾患をチョイスしてみてはいかがでしょうか?とすすめてます。
出血・血栓性疾患: 3)血友病
症例は「治療コンプライアンス不良によって十二指腸炎からの出血を認めた血友病Bの患者の1例」です。
わかってます。ずるいですよね。そんなの消化器疾患でかけよ!!!と。笑
ただ、この場合は血友病のコントロールに関する問題がメインプロブレムでした。
さらに出血性貧血という病態フォーカスでなく、血友病という疾患フォーカスにすることでメインプロブレムの軸が整い、書きやすい要約になりました。
正直、病歴要約で「どの分野で書くか」については二次評価の先生の考え方にも左右されることもありますが、2〜3年間の内科研修で全ての科を完全に網羅してローテーションすることは不可能です。
過去に脳梗塞を起こしただけ〜〜〜みたいなあまりにもメインプロブレムとかけ離れてるのはいけませんが、時には自分の得意な分野から派生した疾患を採用するのもありなんじゃないかなと思います。
白血球系疾患: 7)悪性リンパ腫(Hodgkinリンパ腫, 非Hodgkinリンパ腫)
症例は「閉塞性黄疸と右動眼神経麻痺をきたしたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の1例」です。
これは「一癖×印象深さ」で選択しました。
悪性リンパ腫は全身をめぐる血液疾患なので体の至る所に症状が出る可能性があります。よってあくまで傾向として、必然的にシンプルさを追求するのは難しく、他の症例とは差別化された癖のある病態になりがちです。
この症例もリンパ腫による「肝門部圧排→閉塞性黄疸」と「頭蓋転移による動眼神経圧排」といった別々の考察ポイントがあり、むしろボリュームが多すぎて困るくらいの考察が展開できました。
神経 2症例
脳梗塞を経験したことがない人はいないと思います。
なので自分の同期も「脳梗塞×肝性脳症」とか脳梗塞との組み合わせが多かったものの、自分は何故か茨の道、「変性一筋」を貫きました。笑
免疫異常による筋疾患: 2)重症筋無力症・Lambert-Eaton 症候群
症例は「首下がりと嚥下・構音障害を主訴に重症筋無力症と診断されステロイドが著効した1例」です。
重症筋無力症は臨床の外来ではあまりcommonな疾患ではありません。
しかし、国家試験的には重要な疾患であるため、ある程度みんなの脳裏に焼き付いてる疾患でしょう。自分も「奥義・病見え」で知識を思い出しながら文献を調べて考察をまとめました。
後は経過次第ですが、ステロイドが著効すれば割とシンプルな経過にまとまり、書きやすさとしては悪くないんじゃないかと思います。
感染性・炎症性疾患: 1)髄膜炎・脳炎・脳膿瘍
症例は「アシクロビルが著効した単純ヘルペスウイルス性髄膜炎の1例」です。
これはぶっちゃけちょっと書きにくかったです。笑
経過がかなりシンプルでアシクロビル投与前後でウイルス量も著明に改善し、自覚症状も改善しました。
ただ、後で文献を引用するときに気づいたことがあり、ヘルペス脳炎のガイドラインは確立されているものの、単純ヘルペス性髄膜炎の単独のガイドラインがなく、考察に苦労しました。。。笑
いかに経過がシンプルで聞き慣れた疾患でもたまにこういうこともあるので事前チェックはしておいても良さそうですね。笑
今となっては、シンプルに変性一筋じゃなく「脳梗塞」を混ぜたほうが書きやすかったと思います。
アレルギー 1症例
全身性疾患・その他: 1)アナフィラキシー
症例は「投与6回目でオキサリプラチンによるアナフィラキシーを発症した直腸癌患者の1例」です。
オキサリプラチンのアナフィラキシーなんて全然commonじゃないし複雑そうに思った方もいるでしょう。
しかし、消化器内科医としてはオキサリプラチンが蓄積性に投与6回目以降でアナフィラキシーの頻度が上がることは、1〜2年も臨床していれば必ず1症例は出会うであろうほど有名です。
過去に文献とかも調べたこともあったので割と思考停止でも書けちゃいました。このように自分の得意な範囲にうまく持ってけれると要約を書くスピードも上がり、ブーストしますね。笑
膠原病 1症例
全身症状・多臓器症状を主とする膠原病・類縁疾患: 9)IgG4関連疾患
症例は「ステロイド治療が著効し、膵管狭窄の改善を認めた自己免疫性膵炎の1例」です。
この症例は完全に「印象深さ」で選択しました。
経過は複雑だし、全然commonでないものの、上級医の先生らが「DPDS!DPDS!」と言っており、なんのこっちゃわからず試行錯誤した記憶を深掘りし、入院中から勉強して学んでいたため、割とスラスラ書きました。笑
ちなみに、DPDSは膵管破綻症候群という意味のDisconnected Pancreatic Duct Syndromeの略で全然任天堂は関係ないそうです。笑
感染症 2症例
感染症は「ケツバイ陽性!」な症例を1個選択し、もう1個は好きなのを書く。
このパターンがほとんどと思います。
原虫・スピロヘータ感染症など: 5)梅毒
症例は「眼症状を契機に発見され、ペニシリンで皮疹が出現した神経梅毒の1例」です。
この症例はシンプルな「梅毒→神経梅毒」といった経過に、ペニシリンで皮疹→セフェム系に変更と言った一癖プロブレムリストを追記することができ、ボリュームとしては申し分ありませんでした。
後は・・・
そうですねぇ・・・
梅毒もそうですがSTDの知識ってなんとなく興味が出る分野じゃないですか?え?僕だけ?笑
そういう疾患への興味も印象深さと同じように書きやすさに繋がっていくと思います。笑
細菌感染症: 4)グラム陰性腸内細菌群(大腸菌,肺炎桿菌,セラチアなど)感染症
症例は「クレブシエラ・ニューモニエによる菌血症を起こした総胆管結石による胆道感染症の1例」です。
細菌感染症は、感染のfocusに対しての考察(この症例の場合なら総胆管結石による胆管炎)と、その原因となった菌(クレブシエラ・ニューモニエ)の2つで考察が書けるためボリュームが増します。
内科医で感染症を経験しないことはまずないと思うので、血液培養で菌が検出された症例を洗いざらい探して、菌血症としてメインプロブレムにして#2にその原因みたいな感じで書けば考察も複雑にならず、書きやすいです。
救急 2症例
救急外来で診療をしたことがないなんて人はいないと思うので疾患選びに困ることはないでしょう。
しかし、よくチェックしておかないと落とし穴が。。。ということで後ほど解説します。笑
消化器系救急疾患: 4)その他 ① 胆石・胆のう炎
症例は「無症状の総胆管結石に対して経過観察されていた高齢者が胆石性胆管炎を発症し内視鏡的に結石除去を行った1例」です。
こちらは冒頭でも解説した症例ですね。
「急性胆嚢炎・胆管炎!!!!!!!」
これほどまでにドcommonでシンプルな疾患はあるだろうか、いやないだろう。笑
唯一の欠点としてはガイドラインが確立されすぎているのでエビデンスに基づいたお利口さんな病歴要約になってしまいがち。
よって、一癖何か付け加えてあげたいですね。
この症例だったら、「高齢者の無症状の総胆管結石」という背景で全人的な考察を含めて書き進めていけました。
ショック: 5)出血性ショック
症例は「吐血を主訴にショックバイタルで救急搬送された十二指腸潰瘍出血の1例」です。
まずは、この写真をご覧ください。
これが地獄の病歴要約被りです。笑
これは僕が「出血性ショック」として要約を書いたつもりが「消化器系救急疾患・消化管出血」を選んでたがゆえ、先ほどの胆嚢炎と疾患群が被り、幻の29症例目が生まれました。笑
結構被らないよう意識してたつもりだったんだけどな。。。
ちなみに、幻の29症例目は
ピロリ菌感染が原因と思われた出血性胃潰瘍に対して高周波止血鉗子による内視鏡的止血術を行い救命した一例
というタイトルで要約を作成しました。
ただ、考察は完成していたため、同じような臨床経過の症例をチョイスして臨床経過や血液データなど変えただけだったのでまだ被害は少なかったです。。。
「この症例は病歴要約書きやすそうか?」よりもっと根本的に大事なことなのでみなさんはミスしないようちゃんとチェックしておくことをすすめます。笑
外科紹介症例 2症例
消化器 小腸・大腸疾患:2)炎症性疾患 ④潰瘍性大腸炎
症例は「内科的治療でのコントロールが不良となり手術適応と判断された難治性潰瘍性大腸炎の1例」です。
外科紹介症例は母体数がどうしても少ないので書きやすい症例をチョイスしていくことは難しいです。
一番良くある疑問として
「一度内科で入院して、退院してから外科に紹介した症例は使えるのか?」
という議論が交わされてましたが、結論から言うとこれは「2次評価指導医のガチャ運」に左右されると思います。
なのでシンプルにそのまま外科に転科した症例があればそれを書くのが無難なんじゃないかなと個人的には思います。
循環器:弁膜疾患:1)僧帽弁疾患②僧帽弁閉鎖不全症
症例は「感染性心内膜炎による重症僧帽弁閉鎖不全症を再発した1例」です。
また、もう一つの疑問として「同じ消化器疾患を2個でも大丈夫か」と言う問題もあるでしょう。
疾患群を分けることが出来ればベストでしょうが、中々そうもいかないと思います。
自分の1期性、2期性の先輩は消化器疾患2つで行けたよーと言っている人もちらほらいますがここも「2次評価指導医ガチャ」に左右される要素かなとも思います。
あくまで自己責任で判断して選択してください。
自分は念の為、消化器疾患以外での研修医の時の循環器疾患での外科紹介症例を書きました。
剖検症例 1症例
消化器 胆道疾患: 4)胆道悪性腫瘍(乳頭部腫瘍も含む)
症例は「胆管炎を認めずADLも自立した超高齢の肝門部胆管癌患者が急変し剖検に至った症例」です。
剖検症例は
【CPCや立ち会いは?】剖検症例(病歴要約)の書き方【JOSLER(ジェイオスラー)】
でも解説しています。
詳しくはそちらを見てみてください。
自分はいくつか剖検症例がある中でCPCのスライドを作ったり印象深い症例であった本症例を利用しました。
まとめ
前提として、評価の基準はそれぞれの指導医によって違います。
ただ、書きやすい病歴要約を選択する条件はこれまでも解説してきたように大きく3つあります。
①commonな疾患
→commonであればガイドラインなどが確立されている。文献検索に時間がかからない
②シンプルさとちょっとした一癖
→シンプルな経過はまとまるがある。しかし、まとまりすぎてボリュームが足らなくなるので一癖
③症例への印象深さ
→経過のイメージが湧きやすく、深い考察や、そういえばあんなこともあったなと追記できる
これらを参考にしながらサクッと書いて、あとは「ガチャ」を待ちましょう!笑
おまけ:
もっとJ-OSLER関連の記事が読みたい!という方は
内科専門医試験について知りたい!!!という方は
→内科専門医試験記事一覧からご覧くださいっ!
わからないことがあれば、
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